第54回 運営推進会議を行いました。
新型コロナウイルス感染防止策とし、密をさけるため出席者に制限をかけて開催する。
*運営状況・活動状況報告
*身体拘束・虐待防止委員会内容報告、ご意見
①令和3年3月13日(水)
<身体拘束・虐待防止についての勉強会>
●非意図的虐待・身体拘束が疑われるグレーゾーン行為
1、介護相談員がみたグレーゾーン行為
グレーゾーン行為の有無の比率をみると、「あった」とした介護相談員は
33.1%で概ね3分の1で「なかった」は60.0%となっている。
施設ごとにグレーゾーン行為の「あった」比率をみると、「老健」で49.4%
と半数近くを占め、「療養病棟」も45.5%に達する。さらに「特養」が
38.9%で続き、3施設での発見率が高い。以下、「小規模多機能」が34.8%
「グループホーム」が30.2%、「ショートステイ」が30.0%などの順となっ
ている。
虐待・身体拘束と同じく、養成研修の受講先別でグレーゾーン行為の発見率
にも大きな差がある。研修先別に「あった」の比率をみると、全国研修を受
けた相談員では38.3%がグレーゾーン行為を見聞きしているのに対し、都道
府県研修や市町村研修受講者では2割程度にとどまる。グレーゾーン行為の
とらえ方の難しさもると思われるところである。
さらに、介護相談員になる前(あるいは現在)の職種別でみると「医療関連
職員」や「福祉関連職員」、「ボランティア」、「NPO職員」、「会社員」
などの人で発見率がやや高い反面、「民生委員」や「公務員」はやや低くなっ
ている。
2、具体的な記入について
グレーゾーンの行為についても、複数記入を整理するなどの処理の上で、
1171件の事例を抽出した。その具体的な内容については、「ブザー・鈴・セ
ンサー」が724件、「ナースコール」が218件、「行動抑制・鍵・カメラ」が
195件などとなっている。
●虐待・身体拘束に繋がる可能性のある不適切ケア
1、介護相談員がみた不適切ケア
不適切ケアを「あった」とした介護相談員は36.5%で、「なかった」は54.4%
と半数強である。
施設ごとに不適切ケアの「あった」比率をみると、「老健」が47.7%と半数
近くに及び、「特養」が43.0%、「ショートステイ」が40.0%とこれからの
施設も4割を超える。また、「療養病棟」が38.2%、「グループホーム」が
35.7%、「小規模特養」が31.5%などとなっている。
ちなみに、虐待・身体拘束は、グレーゾーンが少なかった「デイサービス」
や「デイケア」においても、不適切ケアはそれぞれ17.3%、19.5%と2割程度
を占め、少ないとは言えない。
ここで、養成研修の受講先別で不適切ケアの発見率をみると、全国研修受講者
では「あった」が4割を超え、その発見率が高いことがわかる。これに対し、
都道府県研修では29.5%、市町村研修では23.5%で、養成研修の受講先による
差の大きいことはここでも明らかである。
また、職種別でみると「あった」比率が高いのは「NPO職員」50.0%や「自
営業」44.8%で、「民生委員」33.2%、「公務員」33.2%は低くなっている。
なお、虐待・身体拘束やグレーゾーン行為の発見率が高かった「福祉関連職員」
39.1%や「医療関連職員」35.9%は不適切ケアについてはやや低めであるが、
これは職場の実情がわかることで適切かどうかの線引きが他の所属の人と異な
る背景があると思われる。
2、具体的な記入について
これまでと同じく、不適切ケアについても事例抽出をしたところ、複数記入が
多かったこともあり、その事例数は実に4840件に及び、介護相談員の目がケア
の無いようにかなり届いていることがわかる。具体的な内容については、「そ
の他」が1970件と多いが、「排せつ・入浴」が1280件、「食事」が626件、
「放置・無視」が470件などとなっている。
ご意見:(Y様)母がいる時トイレに行ったばっかりで、母が「トイレ」と言った
時に「またトイレ?」と言ってしまったことがありました。
(I様)本人や家族が不快に感じるかどうかがポイントだと思う。センサー
や鈴の音が本人に聞こえない、職員に聞こえる程度の音であった
ら、本人のニーズにすぐに対応し、安全が確保できていたら、許
せる範囲、許せない範囲もあると思う。感じる視点を考え、なぜ
この対応をしているのかの理由が説明できればわかることもある
かもしれない。理由を説明して、記録に残しておくことが大切。
②令和3年2月10日(水)
<各ユニット別身体拘束・虐待について>
・スピーチロックについて
スピーチロックとは、介護職員による利用者さんへの虐待被害を防ぐことを目的
として、介護現場では3つのロックを廃止する取り組みが行われている。
3つのロックとは、物理的に体を押さえつけて動けないようにする「フィジカル
ロック(身体拘束)」、薬の効果でおとなしくさせる「ドラッグロック(薬物拘
束)」、言葉によって行動を押さえつける「スピーチロック(言葉の拘束)」で
す。
*スピーチロックについては理解はしているが、「ちょっと待って」と不意に口
にしてしまっている時がある。下肢筋力低下により、立位・歩行時にふらつき
がある方、転倒リスクの高い方の行動に対して、立ち上がる仕草がみられた時
に言いがちな傾向がある。どうすればこのような声掛けをしないで済むか。
*施設での対応
・利用者が急に立ち上がった時、ニーズがある時に対応できるように業務の見
直しをする。
・認知症の症状のひとつに夕方になると帰宅願望が聞かれる方に対し、余暇を
充実させ、楽しむ時間を提供することで、帰宅願望が聞かれなくなるのでは
ないか。例えば、洗濯物たたみや塗り絵、脳トレなどの計算問題、風船バレー
書道、カラオケ等様々な余暇を個人に合わせて行ってみてはどうか。また、
場所を変えて行うことも効果的ではないか。
ご意見:(Y様)地元でお囃子をやっているが、地域の子供たちが家に来て「太鼓やる
から教えて」と頼みに来たことがあった。とても嬉しかった。いろい
ろな経験・知識を持っているからうまく活かしていければいいと思う。
(O様)自分はどうだったか考えてしまった。母に「しなくていいよ、自分の
ことだけ考えて」と言っていました。今思えば、母がやっていたこと
が助かっていたし、母は何でもやってくれていました。人のために
ちょっと役立つことが大切だと思います。母に感謝しています。今は
どんどんやってもらいたい、「やらなくていいよ」って声掛けはして
ほしくないと思います。
*評価・要望・助言
・入居者代表
(O様)ここはずっといられると聞いて、それが安心です。どこか移ってほしいと言わ
れるのが一番困ります。この年で他に行くのは辛いですよ。
毎日3時に体操するのは楽しみです。あとは、洗濯たたみが好きだから、やらせ
てもらえて嬉しい。少しは役にたっているって気持ちになるから。
(K様)職員さんはみんな良い人で親切にしてもらっています。遠慮しないで言いたい
ことは言えるのでそれはありがたいことだと思っています。
ボール投げとかはあまり好きじゃないから私はしないけど、楽しみにしている方
もいるみたいなので、職員さんがやってくれるのはいいと思いますよ。
この間、注射をしてもらえたのは安心しましたよ。(コロナワクチン)
(O様)私は腰が痛くなるから、部屋で休むこともあるんだけど、職員さんが気にして
くれるので助かっています。
職員さんが忙しそうな時には声をかけづらいこともあるけど、皆さんよくしてく
れるし、お世話になってありがたいです。
家に帰りたいと思うこともあるけど、コロナもあるからね、ここの方が安心だと
思います。外には行けないけど、花を飾ったり、苺を出してくれたりして、工夫
してくれてありがたいなぁと思います。
・家族代表
(O様)私も早くワクチンを接種して面会がしたいです。
・地域住民代表
(Y様)ここに入られている皆さんのご意見を聞き、職員さんがよくやってくれていると
思いました。
・地域包括支援センター
(I様)コロナ禍で、外出とかに出かけられない状況が続いていますが、職員がいろいろ
考えて入居者を楽しませていることがわかり、入居者も喜んでいて良かったと思
います。