第63回 運営推進会議を開催しました。
*運営状況・活動状況報告
*身体拘束・虐待防止について
①令和4年10月12日(水)
<各ユニットからの事例>
くるみ
事例:75歳 女性 糖尿病
認知症なし 会話においての理解力あり、ご自分の意思を伝えることができる方
入居前はショートステイを利用されていた。在宅時より仙骨部に水泡があり、訪問
看護やショートステイ利用時に処置を行っていた。
入居後より皮膚科の医師往診により創傷部の状態確認及び処置の指示をしてもらい、
看護師により対応していたが、医師より大きな病院で一度処置をしてもらった方が
いいとのことで、入院、加療を経て退院。退院後より体力の低下がみられ、ベッド
上で過ごすことがほとんどとなった。
入院前はベッド上端座位で食事を自分で食べることができていたが、それもできない
状態となった。現在は体に痛みがあり、身体を動かすと痛みを訴えることが多い。
このような状態の方で、ベッド上で1日を過ごしてもらうことで、より一層の
レベル低下が予測される中で、虐待につながる可能性はあるのか。
今後どういった対応ができるのか。
改善策:本人の意向も確認し、ベッド上で行える余暇を探してみる。
以前は俳句が趣味とのことだったので、俳句を作って気分転換を図る。
訪問する回数を増やし、積極的に声かけやコミュニケーションを図る。
ご意見
(O様)痛いのは我慢できない。周囲の「大丈夫」は気休めでしかない。
母が腰痛を持っているのですが、以前に「あなたにこの痛みは分かんない
でしょ」と言われたことがあります。無理に押し付けなくていいと思うし、
本人も好きにさせてよって思っているかもしれない。
他の人が何かした方がと思っているだけで、本人は何も思っていない。
押し付けてしまうと精神的に嫌になってしまうと思うので、本人の意見を
尊重しながら、本人のやりたいように対応してあげることが一番だと思います。
(K様)慢性疼痛に対して痛みの評価をしてあげると良いと思います。
どの時間が辛いのか、薬の効きはどうなのか、ずっと痛いのかなど。
こういった方には適切な痛みの評価を行っていけると良いと思います。
②令和4年9月28日(水)
<他施設での事例>
①事例の概要
忙しい時間帯に頻繁に寄り添いを求める女性利用者に対して、男性職員が要求を断った
ところ、女性利用者が怒鳴ったため、思わずかっとなって平手打ちをし口内より出血あり。
②施設・事業所・関係者の概要
【施 設】2ユニットからなるグループホーム。事案発生時の入居率は100%で、夜勤者
は各ユニット1名。
【虐待者】男性の介護職員。25歳 介護福祉士。3年間別法人のデイサービスで介護職員
として勤務。入職7ヶ月目。夜勤経験はほとんどなく、現事業所で入職4ヶ月目
より月4~6日程度夜勤を行っていた。
【被虐待者】84歳 女性 入所約半年。中度のアルツハイマー型認知症あり。
日常生活に大幅な介助は必要とせず、日中は落ち着いて過ごしている。夜間は
眠りが浅く、4・5回ほど覚醒し、ほぼ職員を呼びトイレへの付き添いを求める。
居室に戻った後も、「眠れないから一緒にいてほしい」「手を握ってほしい」
等の要求を切迫した様子で訴えることが多い。
③発生の状況
事案発生当日は、当該夜勤職員が一人で夜勤をしていた。日中から熱発している別の利用
者がおり、夜間になっても頻繁に訪室し様子をみていた。加えて、別の利用者からも気分
がすぐれないと訴えがあり、双方の居室を往復するように対応していた。その間にも女性
利用者は何度か覚醒し、トイレへの付き添いを求めていた。トイレから居室に戻ると一緒
に寝ようと要求し、断ろうとするが、女性利用者は納得せず、男性職員にしがみつくよう
に懇願してきた。そうしたやりとりを繰り返すうちに女性利用者から「こんな年寄りを
ひとりにして。この人でなし!」と言われ、激高した男性職員が女性利用者の頬を平手打
ちした。
④防止・対応のヒント
特定の職員個人の問題でなく、施設・事業所全体の問題として考えることが必要。
ほとんど夜勤経験がない職員が一人で夜勤をするにあたって、研修やベテラン職員と二人
一組で夜勤をするなど、十分な教育の機会を設けることが必要。情報共有や意見交換の場
を設けるとともに、利用者の日々の状況や介護の内容についての情報を共有する方法に
ついて、ルールや手順を決めて行い、管理者やリーダーが教育に関わることも重要。
ご意見
(施設長)国の基準としては2ユニットで1名の職員配置となっていますが、この事例の
グループホームは、1ユニット1名の夜勤を配置しています。
ふくろうの杜では特養は3ユニットで2名の夜勤職員を配置しており、申し送りなど
行う時点で日中の様子について情報共有をしています。
ナースコールも全体共有のPHSを使用する子ことで、その日の担当の職員が対応
できない時にはもう一人の夜勤者が対応するなど、チームとして動く体制を整えて
います。
(K様)この事例については、この利用者が何日前からこのような行動があったのか、
どのような薬を飲んでいたのか、他職員が勤務している時はどうだったのかなどの
背景が気になります。
医療も含めてチームとしての話し合いの場が持てればいいのではと思います。
*評価・要望・助言
・入居者代表
(O様)腰が痛くてダメ。だけど、ご飯は美味しく食べています。
ここは温かくしていられるし、みんなにお世話になってありがたいです。
(O様)最近調子があんまり良くないんだけど、皆が気にかけてくれるからありがたい。
私ももう年だからいろいろ身体もガタが来始めているけど、お仕事をさせて
もらいながら、ここでずっとお世話になりたいって思っています。
・家族代表
(O様)今まで通りで、本人が毎日苦痛じゃなく過ごせれば。
入居者のことを思って対応してくれているのをよく感じます。
入居者同士のコミュニケーションって大事だと思うので、みんな、この人が
いてお話をすると楽しいって状況が、その人その人で増えていけばいいなっ
て思います。そうすれば、みんな退屈せずに楽しく過ごせるなって思います。
コロナが蔓延している状況の中で、ここに居てもらうのが安心です。
・地域包括支援センター
(K様)広報誌を拝見せてもらって、とても良いと思いました。
*その他
(O様)コロナ感染者が増加したことで、面会制限も更に伸びますか?この前数か月
ぶりに会えた時に「誰だい?」と聞かれてちょっと寂しいと感じました。
少しずつ認知症も進行していることや、なかなか直接会うことができない
こととか、いろいろなことが重なってしまっていることもあって、しょうが
ない部分はあるけど、やっぱり、子供としてはいつまでも覚えていてほしい
という気持ちがあります。
→現在、第8波が来ているなかで、高齢者施設従事者には週3回の抗原
検査を実施するようにとの依頼があり、ふくろうの杜では現在、
月・水・金の週3回の検査を実施しています。これを行うことで、
クラスターの予防や情報収集に役立てるようです。
ふくろうの杜では現在は窓越し面会・TV電話面会での対応を取って
いますが、この感染の波が落ち着いた時には、面会についても見直し
を行っていきたいと思います。(施設長)